校長室より 校長 森 昭彦


平成31年4月8日 入学式 式辞(全日制)

 かすかに白くたなびく春霞が、城山を彩る桜のかすかに残る淡いピンクと重なる光景に包まれた今日の佳き日、多数の御来賓の方々の御臨席を賜り、平成三十一年度愛媛県立川之江高等学校の入学式を挙行できますことは、生徒並びに教職員一同の大きな喜びであります。
 ただ今、入学を許可いたしました、二一五名の新入生の皆さん、おめでとうございます。本校への入学を目指してこれまで重ねてきた努力に対して敬意を表します。本校の一員となった皆さんの入学は、時代が「平成」から「令和」へと切り替わる節目に当たること、つまり入学を「平成最後の年」で迎え、「令和」の卒業予定者となったという、皆さんにしか与えられない現実からすれば、実に感慨深く、その喜びもひとしおではないかと察するところであります。
さて、新入生の皆さんには、この場を通して、まず本校の教育方針を紹介します。教育方針は5つの柱から構成されています。1.「豊かな知性と創造性、果敢な積極性を育てる」こと、2.「自他を敬愛する人権尊重の精神と誠実な人間性を育てる」こと、3.「豊かな情緒と感性、たくましい体力を育てる」こと、4.「国際的な視野に立ち、変化に対応できる柔軟性を育てる」こと、5.「地域社会に貢献する意欲と実践力を育てる」ことの5つです。これらは、今の時代を生き、そしてこれからの時代を生き抜くために必要な資質や能力を示しています。新入生の皆さんには、本校における3年間の修業を通して、身に付けていってもらいたいと考えています。また、重点努力目標として「豊かな人間性を持ち、積極果敢な精神と自己開拓力に満ちた生徒の育成」を掲げ、サブテーマとして-高き理想の実現に向けた確かな知力、応用力、実践力の育成-を掲げています。本校は、知性と品格を備えつつ、豊かな人間性を持ち、気概に満ちた逞しい人材の育成に努めていることを、本校への第一歩に当たるこの入学式の場において、新入生の皆さんにはまず理解をしておいてもらいたいと思います。
 さて、入学式に臨んでいる皆さんは今何を考えていますか。きっと、これからの高校生活について、期待や不安など様々な思いが交錯していることと察します。
ここで、入学に当たり、私からは皆さんにお願いしたいこれから3年間の高校生活の過ごし方について話をしたいと思います。先ほど本校の教育方針の一つとして.「果敢な積極性を育てる」ことと、重点努力目標として「豊かな人間性を持ち、積極果敢な精神と自己開拓力に満ちた生徒の育成」について触れました。私が皆さんにこれからの3年間においてお願いしたいこととは実に単純なことです。皆さんには、これからの3年間において失敗を恐れず、自らに必要と思われる様々なことに積極的に挑戦してほしいということなのです。
日本の将棋棋士で十九世名人の羽生善治さんは次のような言葉を残しています。「何かに挑戦したら、確実に報われるのであれば、誰でも必ず挑戦するだろう。報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって、継続しているのは非常に大変なことであり、私は、それこそが、才能だと思っている。」
自らに必要と思われる様々なことに対する積極果敢な挑戦には、成功もあれば、うまくいかないこともあります。たとえうまくいかないことがあっても、心乱すことなく、じっと耐え、諦めず切磋琢磨することは大変難しいことかもしれません。しかし、そのような困難な生き方からこそ、羽生さんがおっしゃられるように、皆さんの才能が開花し、自ずと道が拓けてくるものと思います。
 皆さん、本校におけるこれからの学びの中に、夢を持ち、目標を掲げ、その実現に向けて果敢に挑戦していく気概と姿勢を育てていってください。川高生としての気概やたくましさを身に付けていってください。そうしたひたむきで前向きな日々を繰り返すことで、きっと皆さん一人一人の人間力を磨き、能力が開花し、すばらしい人間としての成長を手に入れることにつながると確信しています。
 最後になりましたが、保護者の皆様、本日は、お子様の御入学、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。これからの三年間、教職員一同、お子様が描こうとしている高校生活を全力でサポートして行きたいと思います。文武両道の教育方針に沿って、今後とも本校の教育活動に御理解をいただき、御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。


 

平成31年1月8日 第3学期始業式 式辞(全日制)

 瀬戸内の冬らしい穏やかな寒さと日差しの中、新しい年を迎えることになのました。冬休みが終わり、平成30年度第3学期が始まりました。生徒の皆さんは体調面、健康面に問題はなかったでしょうか。生活リズムを崩してしまった人はいませんか。いよいよ一学年度の締めくくりのステージを迎えました。締めくくりに当たり、生徒の皆さんすべてが、有終の美を飾れることを期待しています。

 さて、学期始めに当たり、また年始めに当たりまして、私からは「目標を持つこと」について話をしたいと思います。

 19世紀のドイツの哲学者、実存主義哲学の先駆者であるニーチェは次のような言葉を残しています。

「一日一日を始める最良の方法は、目覚めの際に、今日は少なくとも一人の人間に、一つの喜びを与えることができないだろうかと、考えることである」

  生徒の皆さんは、「一年の計は元旦にあり」という言葉を耳にしたことがあると思います。新しい一年を過ごしていくに当たって、明確な目標と計画を持って、決意を新たにしていくことの大切さを示した言葉です。この言葉を念頭に置いたうえで、ニーチェの言葉に出てくる「少なくとも一人の人間」を「私自身」と読み換えて見ましょう。「少なくとも一人の人間」の中には自分も含まれるという解釈は、哲学的解釈としてむしろ最適であり、ニーチェの思惑そのものと考えられます。合わせて、同じく言葉の中に出てくる「一つの喜びを与えること」については、心の充足を表しているものと考えらますので、達成感や充実感を与えることと解釈できます。こうした解釈をもとに、ニーチェの言葉を読み換えてみます。その前に、もう一度ニーチェの言葉、原文を復唱してみます。

「一日一日を始める最良の方法は、目覚めの際に、今日は少なくとも一人の人間に、一つの喜びを与えることができないだろうかと、考えることである」 

 これを読み換えてみます。

「一年を始める最良の方法は、年始めに、この一年少なくとも自分自身に、達成感や成就感を与えることができないだろうかと、考えることである」

 この読み換えに沿って、自分自身に、達成感や充実感を与えるためには、自分自身が「目標を持つこと」が必要になるというところに行き着くことができます。ただ、ここで誤った解釈に陥ってはならないことは、「目標を持つこと」と「目標を達成すること」とは別であるということなのです。

 達成感や成就感と言えば、あたかも目標を達成できた後に得られる、専売特許のような使われ方をしがちですが、目標は必ずしも達成できるものとは限りません。達成できない時もあります。しかし、目標を持って、その達成、実現に向けて、真摯に向き合い努力を注ぎ込む姿こそが、尊い人間としての生き方のように思えてなりません。

 こうした生き方こそが、今年度の入学式と最初の始業式において紹介した本田宗一郎氏の言葉

「チャレンジして失敗を恐れるより、何もしないことを恐れろ」

 この言葉につながっていくのです。

 目標を持って臨むこと、たとえそれが実現できないことがあっても、真摯に向きあった自分の中に得られる達成感や充実感、それこそが生きていくうえでの貴重な糧になることを意識してもらいたいと考えています。生徒の皆さん、目標、夢を持って今年も歩を進めていきましょう。

 最後になりましたが、生徒の皆さん一人一人のより高い意識、態度、行動によって、締めくくりにふさわしい学期となることを期待しながら、式辞といたします。


平成30年12月20日 第2学期終業式 式辞(全日制)

 朝晩の底冷えする空気を感じながら、今年も短い秋だったことを実感する今日この頃です。

 本校は、平成最後の今年に創立110周年を迎えました。それゆえ、のちのち思い返す場面があった場合、今年のことは特に思い出しやすいかもしれません。2学期は大きな周年行事が集中した学期でした。9月6日には、創立110周年記念体育祭が行われました。記念体育祭にふさわしい、皆さんの若さと爽やかさに満ちた体育祭で、入場行進・応援の部では青嵐団が、アーチの部では赤光団が、仮装・総合優勝では黄道団がそれぞれ優勝に輝くなど、成果を見事に分け合う結果となりました。11月13・14日には、創立110周年記念式、記念文化祭が行われました。記念講演では、平成14年度卒業生の大西可奈子さんを迎えて「いちばんやさしいAI超入門」と題した講演をいただきました。また、川之江AI(愛)フォーラムでは、川之江先輩塾や本校OBの方々と交流する機会を得ました。各界、各地で活躍する先輩たちのたくましい姿から刺激を与えられるとともに、生徒の皆さんが今後生きていく社会においては、いかにAI(人工知能)との共存が重要であるかを学ぶことができたのではないかと思います。これで110周年記念行事はほぼ終わりました。もし、あと記念行事として残っているものがあるとすれば、それは皆さん一人一人の今年一年の総括ではないかと思います。「何ができなかったか」という視点も大切ですが、「何ができたか、何ができるようになったか、何を残せたか」という視点でこの一年を振り返る作業はとても重要なことです。その振り返りこそが、周年と等しい節目を生み出します。そして、次のステップを導いてくれます。冬休みは、宿題もありますが、そんな振り返りの時間を持ってもらいたいと考えています。そして、来るべき残りの3学期をどう過ごしていくかという道筋を見いだしてもらいたいと思います。

 さて、先日、今年の世相を漢字一文字で表す今年の漢字に、災いを表す「災」が選ばれました。振り返りますと、本県も大きな被害を受けた西日本豪雨をはじめ、たくさんの地震、台風、猛暑など、各地が自然災害によって大きな被害を受けた一年でした。一方、スポーツ界のパワハラ問題、財務省における決裁文書の改ざん問題、大学医学部をはじめとする不正入試など、人によってもたらされる人災も数多く見られました。このように、どちらかというとマイナスイメージが強い一年だったように感じます。特に今年の振り返りの段階で、人災という視点を当てはめてみると、すべての個人に共通した物差しが与えられるように思います。自らの不注意、いたらなさ、努力不足などが原因で、自分自身に不利益という災い、いわゆる人災と呼べるものが大なり小なり降りかかった場面はなかったかという検証も振り返りの過程では必要な作業だと考えます。個人として、いかに降りかかる人災を小さく、あわよくばなくしていける方法や生き方を見いだしていくことの重要性についても、振り返り過程で意識してもらいたいと感じています。 

 最後になりましたが、3年生の皆さんの中で、進路がまだ決定していない生徒諸君、不安な気持ちがあるかもしれませんが、自分を信じて、強気で「目標」の実現を自らの手で掴んでください。夢は掴むものです。

 冬休みに入ります。生徒の皆さんが、それぞれの学年段階と自らの必要に応じた有意義な過ごし方をしてくれることを期待して、式辞といたします。


平成30年11月13日 全日制課程創立110周年記念式 式辞

 ほのかで甘い金木犀の残り香が秋の涼風と混ざり合う今日の佳き日、愛媛県立川之江高等学校全日制課程第百十回開校記念行事を開催するに当たり、御多用の中、御臨席賜りました愛媛県議会議員 宇高英治様、森髙康行様をはじめ、多数の御来賓の皆様に心より厚く御礼申し上げます。

 明治四十一年九月十六日、愛媛県立川之江高等学校の前身に当たる組合立三島女学校が開校されてから、今年、百十年目の節目を迎えました。この間、大正十一年に県立へ移管し、愛媛県立宇摩高等女学校と改称、昭和十年には愛媛県立川之江高等女学校と改称するなどの幾度かの変遷を経て、昭和二十三年、学制改革により新制高等学校となり、愛媛県立川之江高等学校として現在に至っております。巣立っていった卒業生は、全日制課程、定時制課程合わせて二万八千二百八十四名を数え、地域社会をはじめ、各地、各界で輝かしい活躍をされております。本日、この記念式の後、記念講演をしてくださる大西可柰子先生、また、川之江AI(愛)フォーラムで御意見、御助言をいただく川之江先輩塾の愛媛大学 吉田広先生、京都大学の宇田哲也先生はまさにその好例と言えます。こうした諸先輩の皆様方の御活躍は、本校教職員や在校生にとっても大きな誇りであり、また自信となっており、深く敬意を表するところであります。

 一方、この節目に当たり、本校の歴史と伝統を支え続けてくださっている同窓会組織の存在を忘れてはなりません。今年度は6月に全日制課程の、8月には定時制課程の同窓会総会が盛会に開催され、旧交を温め、絆の強さを再確認できました。同窓会会長の毛利泰治郎様をはじめ役員の皆様方におかれましては、平素の様々な教育活動はもちろんのこと、このたびの開校記念関連行事の開催に際し、多大な御協力、御支援いただいており、母校への熱い思いと期待、在校生への温かいまなざしに対し、誠にありがたく、心より厚く感謝申し上げます。

 さて、本校が産声をあげたここ川之江の地は、江戸時代の偉大な朱子学者尾藤二州先生の生誕地であり、校内には、尾藤二州先生の座像や座右十戒が掲示されるなど、その名残が見られます。それ故、ここ川之江の地では、学問を好み、教育を尊ぶ気質が染みつき、文武両道の精神が脈々と受け継がれています。尾藤二州先生の志を礎として、築き上げてきた本校の歴史と伝統は、百十年を経た今、まさに目の前にいる生徒の皆さんに引き継がれているということです。生徒の皆さん、本校の歴史と伝統の最先端に自らが位置していること、そして、百十年の節目という皆さんにしか立ち会えない瞬間に今在ることの喜びを噛みしめてほしいと思います。 

 近年は、少子化に伴い入学生が減少し、本校も来年度から県立学校再編整備計画の規定によって、1学年6学級となります。かつて、平成四年度のピーク、3年生1学年が四百九十二名、十二学級あった頃と比較しますと、今後はその半分の規模となります。ピーク当時の卒業生の方々の心情を推察いたしますと、まさに忸怩たる思いの一言に尽きるかもしれません。しかし、今目の前にいる生徒の皆さん、皆さんは決して頭を垂れてはなりません。なぜなら、人数が半分になった分、本校の歴史と伝統を引き継いでいく皆さん一人一人が担う責任は倍となるわけです。その名誉な責任ある立場を自覚し、頭をしっかり上げて、足下と真っ直ぐな先に視線を置きながら、共に前へ進んでいきましょう。 

 さて、私たちは様々な場面で、校歌を斉唱することがあります。その際、二番まではよく歌いますが、三番を歌う場面はほとんどないのが現実です。それ故、三番についてはほとんど馴染みがありません。

 しかし、私はこの三番の歌詞の中にこそ、これからの川之江高等学校の進んでいくべき方向性が示唆されているように感じています。

 三番の歌詞を朗読してみます。

 

彩なす雲のたなびける 燧の洋(うみ)を見はるかす
ここ城山の磯馴松(そなれまつ)
波の調べの永遠(とこしえ)に
美(うま)しき時代(とき)を想いみる
若き希望(のぞみ)ぞ遙かなる

 

 私はこの歌詞を次のように解釈しました。

 

潮風に晒され続けた、傾いて生える松がある城山から見えるきれいな雲がたなびく空。
燧灘に目をやり見渡してみる。そこからはこれまでと変わることのない波の音が聞こえてくるようだ。
そんな眼前に広がる情景に重ねて、これからの良き時代に想いを馳せてみる。
そこには遙か未来へと続く無限の若い希望が満ちあふれている。

 

 本校の果たすべき使命の一つに、「地域人材の育成」があります。しかし、ただそれだけではあまりにも漠然としていて、具体性を欠いています。では、どのような地域人材を育成していくべきか。現代社会は変化が著しく、国内外とも混沌とした状況にあります。また、早急に解決すべき様々な課題も山積しています。そんな中にあっては、城山から眼前に広がる情景を示した三番の歌詞の前半に象徴されるように、大局を見据え、国際的な視野に立ち、時代を読み取り、先見性を持って臨む力が必要であると考えます。そして、これから先の時代へ賭ける想いを示した三番の歌詞の後半に象徴されるように、より良き未来を切り拓く担い手として、様々な課題に立ち向かう磯馴松(そなれまつ)のようなたくましさと解決に資する柔軟な発想力と創造力、実践力を身に付けることも必要になってくると考えます。私は、これからを生きる生徒の皆さんには是非そうした力を備えてもらいたいと強く願っています。そうした力を身に付けていく努力の中にこそ、新たな歴史と伝統が創造されていくものと確信しています。繰り返します。頭をしっかり上げて、足下と真っ直ぐな先に視線を置きながら、共に前へ進んでいきましょう。

 最後になりましたが、本校の教育活動に対しまして、常日頃から御尽力をいただいております御来賓の皆様方、御臨席の皆様方に、重ねて厚く御礼申し上げます。今後とも変わらぬ御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。創立百十周年記念のスローガンである『百十周年の誉れを胸に-若き勇躍と未来への展望-』をしっかり胸に刻みながら、未来へとつながる本校の益々の発展を祈念いたしまして、式辞とさせていただきます。


平成30年11月5日 定時制創立70周年記念式 式辞

 ほのかで淡い菊の香りが漂う今日の佳き日、愛媛県立川之江高等学校定時制課程第七十回開校記念行事を開催するに当たり、御多用の中御臨席賜りました教育振興会会長矢野和孝様をはじめ、多数の御来賓の皆様に心より厚く御礼申し上げます。

 昭和二十三年十一月五日、愛媛県立川之江高等学校定時制課程が設置されましてから、今年は七十年目の節目を迎えました。この間、川滝分校の開設、そして後の廃止等ございましたが、巣立っていった卒業生は千五百六十八名を数え、地域社会をはじめ、各界、各地で輝かしい活躍をされております。先輩の皆様方の御活躍は、本校教職員や在校生にとっても大きな誇りであり、また自信となっており、深く敬意を表するところであります。 

 さて、今年度も8月に定時制の同窓会が大変盛会に開催され、旧交を温め、絆の強さを再確認できました。同窓生である教育振興会役員の皆様方におかれましては、同窓会や観月会など、様々な教育活動に御協力、御支援いただいており、母校への熱い思いと期待、在校生への温かい御支援に対し、誠にありがたく、心より厚く感謝申し上げます。

 本校定時制課程が産声をあげたここ川之江の地は、江戸時代の偉大な朱子学者である尾藤二州先生の生誕地であり、それ故、学問を好み、教育を尊ぶ気質が染みついています。「昔二州学舎、今定時制」という言葉があります。この言葉は本校定時制の設立当初の精神を集約するものですが、七十年を経た今でも、尾藤二州先生の志を受け継ぎ、旺盛な学習意欲を持って学ぶ本校定時制課程の勤労青少年を勇気づけるものとなっています。本校定時制課程は、勤労青少年たちの全人教育を行う四国中央市唯一の場であり、関係者の皆様にとってかけがえのない学舎、心の拠り所であります。

 近年は、入学生が減少し、在校生も30名前後と少人数になりましたが、働きながら学ぶという意欲、学びへの探求心は脈々と受け継がれています。そして、少人数であるということを活かしたきめ細やかな指導、一人一人の能力を引き出し、さらに伸ばしていける努力を重ねていくことの大切さ、定時制課程における学びの質のさらなる充実に向けた取組を創造していくことの大切さを、我々教職員一同、改めて心に深く刻んだところであります。

 さて、本日の開校記念行事に際しましては、2年生の中村怜那さんが作った「七十年の思いを抱いて 未来へと」という七十周年記念テーマを掲げました。本日の開校記念行事に立ち会えたことは、生徒の皆さんにとっては決して偶然ではありません。皆さんが本校定時制課程に入学したその時から、この節目に立ち会う運命にあったのです。この節目に立ち会えたことの喜びをかみしめてください。そして、皆さんの諸先輩方が築いてくれた伝統を受け継ぎ、皆さん自身が創りあげる新しい伝統を付け加えていってください。それは決して難しいことではありません。定時制課程での学びに対して、真摯に向き合うことでそれは実現できます。では、「学びに対して真摯に向き合う」とは、どうすればよいことなのか。それは自ら目標を立てて、その実現に向けて自分のペースでよいから一歩ずつしっかり歩んでいくことです。また、自らの課題に対して、目を背けず、その克服に向けて、あきらめず、真正面から向き合っていくことです。そうした生き方、姿を後輩に伝えていくことが、皆さん自身が創りあげる新しい伝統となるのです。

 勉学や部活動、学校行事など、高校生活における学びには、絶えず新しい出会いがあります。その出会いから吸収するものが、皆さんの血となり、肉となり、さらには心となっていくのです。たくさん吸収して、さらに自分を磨いていってください。世界に一人しかいない自分を成長させていくこと、それができるのは自分しかいません。そのことをしっかり心に刻んで、毎日を大切に過ごしていきましょう。

 最後になりましたが、定時制教育の振興に対しまして、常日頃から御尽力をいただいております御来賓の皆様方、御臨席の皆様方に、重ねて厚く御礼申し上げます。今後とも変わらぬ御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。中村怜那さんが実に端的に表現してくれた、思いを抱きながらさらに未来へとつながる本校定時制課程の益々の発展を祈念いたしまして、式辞とさせていただきます。


平成30年10月1日 後期始業式 式辞(定時制)

 後期課程が始まりました。先週の金曜日に前期課程の終業式をしたばかりですから、生徒の皆さんは実感が湧かないのが正直なところだと思いますが、1年の折り返しを迎えたことは事実です。特に4年生の皆さんについては、高校生活もあと半年となりました。念願の卒業まであと少しです。残りの高校生活を悔いなく過ごしてもらいたいと思います。

 さて、前期課程を振り返りますと、生徒の皆さん一人一人の活躍が目立っていたように思います。6月8日には、平成30年度前期球技大会が行われました。生徒の皆さんがバドミントン競技と卓球競技に分かれて、それぞれの腕を競いました。皆さんの生き生きとした姿が印象的でした。7月17日には、平成30年度校内生徒生活体験発表会が行われました。8名の生徒の皆さんが、それぞれの自分の歩みを熱い思いに乗せて発表してくれました。いずれの発表も甲乙付けがたいすばらしいものだったと思います。8月には全国定時制体育大会があり、本校から1年の加地翔君と2年の中村怜那さんがそれぞれ陸上競技に参加しました。結果は入賞を逃しましたが、また来年度頑張りたいという前向きな思いを語ってくれたという報告を受けて、大変嬉しく思いました。9月2日には、第67回愛媛県定時制通信制高等学校総合体育大会が愛媛県総合運動公園を会場として行われました。本校生徒27名が、陸上競技、バスケットボール競技、卓球競技、バドミントン競技に参加しました。特に卓球競技では、岡部未宏君がベスト8に入るなどめざましい活躍を残しました。他校の仲間たちとの良い交流の場にもなったことと思います。9月14日には、第56回愛媛県高等学校定時制通信制生徒生活体験発表会東予地区予選会が、新居浜市市民文化センターを会場に開かれ、本校からは先の7月に行われた校内生徒生活体験発表会で最優秀となった1年の石川正治さんが出場しました。レベルの高い予選会で、わずかな差で最優秀を逃しましたが、優秀賞を受賞し、10月に行われる県大会への出場権を獲得しました。

 後期課程においても、早速10月5日には運動会、10月30日には観月会

 11月5日には70周年開校記念行事、11月9日には遠足など、たくさんの学校行事が控えています。最後になりましたが、生徒の皆さんのめざましい前期課程における取組に勝る後期課程の取組を期待しながら、式辞といたします。


平成30年9月28日 前期終業式 式辞(定時制)

 昨日で定期考査が終わりました。皆さんの中には肩の力が抜けてほっとしている人もいることでしょう。一方で、成績のことが気になって仕方ない人もいるかもしれません。それぞれに思いがあろうかと思いますが、本日で前期課程が終了します。

 さて、この節目に当たり、私からは「日常生活」ということについて話をしてみます。今年の夏はとても暑い日が毎日続きましたね。そんな中、自然災害も数多く発生しました。7月の始めには、西日本豪雨があり、各地に甚大な被害をもたらしました。私たちのふるさと愛媛県も、南予地方を中心に洪水や土砂災害に見舞われ、多くの尊い命が失われました。そして、追い打ちをかけるかのように、8月には、ひっきりなしに台風が日本列島に接近、上陸し、全国各地が風水害に見舞われ、交通機関の乱れ、交通施設の損傷など大きな被害を受けました。さらに9月には北海道で震度7の大きな地震が起こり、連日の雨で緩んだ地盤が道内の各地で土砂崩れを起こして、多くの尊い人命が奪われました。そして、立て続けに起こったこれらの自然災害によって、以前の「日常生活」を奪われた人々がたくさん現れることになりました。昨日まで一緒に暮らしていた家族が突然目の前から姿を消し、もう二度と会うことができない現実、昨日まで住んでいた思い出がいっぱい詰まった我が家が無残な姿に変わり果てた現実、被災された方々は皆心に傷を負い、取り戻すことのできない現実に向き合わなければならない「非日常生活」に置かれているのです。

 生徒の皆さん、皆さんは「日常生活」について意識したことがありますか。自分の回りに家族や友達がいるのが当たり前、風呂に入ったり眠ったりできる家があるのが当たり前、飲み物や食べる物があるのは当たり前、服や靴があるのが当たり前、など「日常生活」においては、どうしても「当たり前」という意識が生まれてしまい、意識されにくいものとなってしまいがちです。しかし、「日常生活」は決して「当たり前」のものではないのです。だからこそ「日常生活」を大切にしなければならないのです。

 皆さん一人一人の「日常生活」はそれぞれ異なり、決して同じものはありません。「日常生活」を意識して、日々を大切に過ごせていますか。本校の定時制での毎日の学びの大切さを意識して過ごせていますか。こうしたことを考えながら生活していけば、きっと一日一日がさらに充実するでしょうし、皆さん一人一人も自ずと成長していけるはずです。来週から後期課程が始まります。その前に、生徒の皆さん、それぞれの前期課程における「日常生活」を振り返ってみてください。そして、その振り返りにおいて学ぶべきものが見いだせたなら、それを後期課程に活かすように心掛けてください。

 本校定時制における、今後の皆さん一人一人のますますの活躍と成長を期待しながら、式辞といたします。


平成30年8月28日 第2学期始業式 式辞(全日制)

 今夏は、連日、容赦ない猛暑に晒されました。けたたましくサイレンを鳴らしながら走る救急車を見なかった日はほとんどなかったように思います。かつて私が経験してきた夏の涼、爽やかさといった風情が、ここ数年すっかり失われてきているように感じています。地球温暖化は着実に進行しています。生徒の皆さんは体調面、健康面に問題はなかったでしょうか。少なくともこの体育館に集まっている皆さんは、この酷暑を乗り切ったということになるのでしょうね。安心しました。

  平成30年度第二学期が始まりました。夏休みが終わり、残念な気持ちでいる人もいると思います。夏休みの課題等、提出物の準備は万全ですか。生活リズムを崩してしまった人はいませんか。セカンドステージに当たり、生徒の皆さんすべてが、良いスタートを切れることを期待しています。

 さて、学期始めに当たり、私からは「環境」について話をしたいと思います。「人が環境をつくり、環境が人をつくる」という言葉があります。日本の実業家で、ユニクロを中心とする企業グループであるファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏は次のように述べています。

「大事なのは環境。自分の能力以上を求められる環境でなければ、成長は難しい」

 生徒の皆さんは大きな枠組で捉えると、「川之江高校」という環境を形成し所属しています。その枠組の中にあって、さらに「学年」「クラス」「部活動」「友人関係」といった小さな枠組としての環境を形成し所属しています。そして、それらの環境を、互いに高め合い、成長していくという観点に立って、いかにつくっていくかという担い手が、皆さん一人一人なのです。言い換えれば、皆さん一人一人の意識、態度、行動によって、それぞれの環境の質は良くもなれば、悪くもなるということです。式辞の冒頭で述べた地球温暖化は、地球という環境の中にある人間の意識、態度、行動によって行き着いた悪い例と言えます。地球温暖化は、人間の産業活動によって排出される温室効果ガスが主な原因と言われています。人間の自己利益を最優先する無計画で無秩序なこれまでの活動のつけが、今私たち人間自身に降りかかっているのです。一方、良い事例としては、この夏第100回全国高等学校野球選手権記念大会に初出場を果たした三重県立白山高校野球部の活躍が挙げられるのではないでしょうか。5年前まで部員がわずか5名、2年前まで夏の三重大会は10年連続初戦敗退だった白山高校野球部ですが、人口約1万1千人の過疎地白山町にある公立高校でも甲子園へ行けるという高い目標を持って日々努力してきた結果が、今年まさに実を結んだと言えるのではないでしょうか。先ほど紹介した柳井氏の言葉「自分の能力以上を求められる環境でなければ、成長は難しい」という意図を、そのまま現実のものとして反映させた監督と部員たちの意識、態度、行動が、「甲子園に出場した野球部」というすばらしい成長につながった環境をつくりあげたものと言えます。

 生徒の皆さん、「川之江高校」「学年」「クラス」「部活動」「友人関係」といった枠組の環境に今一度目を向けてみてください。もっと高められる、成長し得る余地はないだろうか、あるいは改善すべきことはないだろうか、そういった点検が自ずと自己を高めていくことにつながると思います。さらに自分を磨いてみてください。そして様々な環境の中にあって、求められる意識、態度、行動を見据えながら自分を高めていってください。

 最後になりましたが、二学期は、創立110周年記念に関わる体育祭、文化祭といった大きな学校行事が控えています。平成最後の行事になるということも意識しながら、チーム川高一丸となって成功に導きましょう。また、3年生においては、いよいよ就職、進学の本番の幕が上がります。残されている時間を今まで以上に大切にして、悔いのない取組をしてください。

 生徒の皆さん一人一人の意識、態度、行動によって、さらに充実した学期となることを期待しながら、式辞といたします。

 


平成30年7月20日 終業式 式辞(全日制)

 先日の西日本豪雨は、各地に甚大な被害をもたらしました。わがふるさと愛媛県も、各地が洪水や土砂災害に見舞われ、多くの尊い命が失われました。そして、その深い傷が癒える間を与えることなく、今度は追い打ちをかけるかのように、連日30度を悠に超える猛暑が、未だライフラインが十分に復旧していない被災地の方々を苦しめ、生活再建に向けた努力を阻んでいます。困難に陥った人を励まし、元気づけるために、「試練はこれを乗り越えられる人に与えられる」という言葉を使うことがあります。とてもすてきな言葉だと思います。私自身も、困難に直面したときに思い返していた言葉でもあります。しかし、被災地の厳しい現状と被災者の方々の心情を推し量りますと、この言葉は安易に使えない、そう強く感じています。被災地の一日も早い復興を願うとともに、個人として、また集団として、この現状とどう向き合う必要があるのか、私たち一人一人に求められているように思えてなりません。

  さて、本日は第1学期の最終日です。生徒の皆さんはこの1学期間をどのように過ごしましたか。新年度に当たり、私からは「チャレンジ精神」についてお話をしました。そして、本田宗一郎氏の「チャレンジして失敗を恐れるより、何もしないことを恐れろ」という言葉を借りて、物事に積極的に挑戦することの大切さについて伝えました。生徒の皆さんの中にこの1学期が「何もしないチャレンジ」に終わってしまった人はいませんか。

 チャレンジには必ず「目標」が設定されます。そして、目標が設定されると、その実現に向けて必要とされる具体的な「努力」が生じてきます。その一連の「努力」の過程が「試練」となります。すなわち、チャレンジにおける「試練」は、「自らに与えられる試練」ではなく、「自らに与える試練」として捉える必要があります。

 1年生の皆さん、高校生活が4か月過ぎました。もう高校生活のルールやリズムはおおよそつかめたころと思います。自分にしかない「目標」をそろそろ見つけられているでしょうか。まだ見つけられていない人は、できるだけ早く「目標」を設定し、具体的な「試練」と向き合う準備に取り掛かりましょう。

 2年生の皆さん、高校生活の折り返しの時期に差し掛かりました。明確な「目標」の実現に向かって、「試練」の具体化が図られているでしょうか。この先に続く一連の「努力」の過程と真摯に向き合い、一層力を伸ばし、力を蓄えてください。あらゆる「結果」は必ず相応の「過程」に基づいて生み出されることを心に留めておいてください。

 3年生の皆さん、高校生活の終盤に差し掛かりました。「目標」の実現に向かって、今まで伸ばし、蓄えてきた力が試される大切な時期を迎えました。「試練」に向き合ってきたこれまでの自分を信じて、「目標」の実現を自らの手で手繰り寄せてください。

 夏休みに入ります。生徒の皆さん、1学期を振り返り、それぞれの学年段階と自らの必要に応じた有意義な過ごし方を、この夏休みにしてくれるものと期待しています。

 最後になりましたが、猛暑が続いています。熱中症にならないなど、くれぐれも健康管理に留意して過ごしてください。また、自転車乗車時のヘルメットの着用や交通ルールを遵守するなどして、交通事故の防止にも努めてください。

 皆さんのそれぞれの夏が輝いたものになることを期待しながら、式辞といたします。

 


平成30年4月9日 入学式 式辞(全日制)

 満開だった桜の木々に、光に照らされた緑の若葉の色が少しずつ入り交じりはじめた光景を、春の香りが彩る今日の佳き日、多数の御来賓の御臨席を賜り、平成三十年度、愛媛県立川之江高等学校の入学式が挙行できますことは、生徒並びに教職員一同の大きな喜びであります。

  ただ今、入学を許可いたしました、二一五名の新入生の皆さん、おめでとうございます。本校への入学を目指してこれまで重ねてきた努力に対して敬意を表するとともに、創立110年という歴史と伝統を持つ本校の一員となった皆さんの入学を心より祝福するものであります。

本校の教育方針は、「自らの生き方を問い、他との共生を通して心豊かな人間性の涵養に努め、目的意識を持ち、社会に貢献できる人材を育成する」ことです。また、「チーム川高 授業の充実・マナーアップ」を重点努力目標に掲げ、活力に満ちた学校づくりと、知性と品格にあふれる、心豊かな人間性を備えた人材の育成に努めています。

 さて、入学式に臨んでいる皆さんは今何を考えていますか。きっと、これからの高校生活について様々な思いが交錯していることと察します。

ここで、入学に当たり、私からは「チャレンジ精神」について話をしたいと思います。この「チャレンジ精神」は、今紹介した重点努力目標を具体的に達成していくために設定した三つの柱建ての一つです。その意味は「何事にも高校生らしく勇気を持って挑戦させる」としています。

世界的な自動車・バイクメーカーとして知られるホンダの創業者である本田宗一郎氏は次のような言葉を残しています。

「チャレンジして失敗を恐れるより、何もしないことを恐れろ」

本田氏は元々エンジニアであり、子供の頃より自動車レースで世界一になりたいという夢を描き続けたそうです。1948年に本田技研工業株式会社を設立した後、彼は意欲的に自動車レース大会に参加をしました。時に、自らレーサーとして参戦し、事故で負傷したこともあったそうです。また、会社が経営難に直面したとき、あえて世界的なF1レース大会に参加することを宣言し、従業員の士気を高揚し、経営の立て直しに成功したし言われています。

私たちは、チャレンジの先にどうしても「成功」や「成就」、また「達成」といったものを優先して期待してしまいがちですが、それにつながらず、「失敗」という結果に至る場合も少なくありません。しかし、大きな夢を持って新しいことや困難なことに果敢にチャレンジすることで発生する失敗には大きな意味があると考えます。そこからは、同じ失敗を繰り返さないという強い決意、成功に導くための思考力や工夫、実践力が生まれてくるからです。つまり、より高い人間的な成長を目指す生き方が確立されてくるのです。

逆に、最もしてはいけないのが、何かをすべき必要があるのに、何もしないことによって発生する失敗です。たとえば、定期考査があるのに十分勉強しないで悪い点を取ってしまった、また日々の練習を十分せずに試合に臨み、大敗を喫してしまったなどがその例です。これらは、結果として必然であり、果敢にチャレンジする意識とはほど遠い、むしろ自らの成長を阻む生き方ではないでしょうか。

 皆さん、本校における学びの中で、夢を持って様々なことにチャレンジする気持ちの灯を、本日の今から心に灯してください。そして、失敗を肯定的にとらえ、これを恐れず、何度も何度もチャレンジを繰り返すことで、たくましさを身に付けていってください。そうした前向きな日々の繰り返しは、きっと皆さん一人一人の人間力を磨き、将来の皆さんの人生の大きな宝物としてを手に入れることにつながると確信しています。

  最後になりましたが、保護者の皆様、本日は、お子様の御入学、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。これからの三年間、教職員一同、お子様が描こうとしている高校生活を全力でサポートして行きたいと思います。文武両道の教育方針に沿って、今後とも本校の教育活動に御理解をいただき、御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。


平成30年4月9日 入学式 式辞(定時制) 

 満開だった桜の木々に、光に照らされた緑の若葉の色が少しずつ入り交じりはじめた光景を、春の香りが彩る今日の佳き日、多数の御来賓の御臨席を賜り、平成三十年度、愛媛県立川之江高等学校定時制課程の入学式が挙行できますことは、生徒並びに教職員一同の大きな喜びであります。

  ただ今、入学を許可いたしました、四名の新入生の皆さん、おめでとうございます。向学心を持って、入学に向けてこれまで重ねてきた努力に対して敬意を表するとともに、本校定時制課程創立70年という輝かしい歴史と伝統を持つ本校の一員となった皆さんの入学を心より祝福するものであります。

本校の教育方針は、「自らの生き方を問い、他との共生を通して心豊かな人間性の涵養に努め、目的意識を持ち、社会に貢献できる人材を育成する」ことです。また、「チーム川高 授業の充実・マナーアップ」を重点努力目標に掲げ、活力に満ちた学校づくりと、知性と品格にあふれる、心豊かな人間性を備えた人材の育成に努めています。

 さて、入学式に臨んでいる皆さんは今何を考えていますか。きっと、これからの高校生活について様々な思いが交錯していることと察します。

ここで、入学に当たり、私からは「学ぶことの素晴らしさ」について話をしたいと思います。

ドイツ生まれの理論物理学者であるアルベルト・アインシュタインは学ぶことについて次のような言葉を残しています。

「学べば学ぶほど、自分が何も知らなかった事に気づく、気づけば気づくほど、また学びたくなる」

アインシュタインは、相対性理論をはじめ数々の新しい発見を通して、それまでの物理学の認識を根本から変える偉業を成し遂げ、1921年にはノーベル物理学賞を受賞し、「現代物理学の父」」と呼ばれるほどの偉人です。皆さんは、彼のこの言葉からどのようなことを感じますか。彼のような偉大な科学者でさえも、まだまだ知らないことがたくさんある、彼はそれに気づくことができたことに喜びを見出しています。そして、知らない自分をさらに発見するために、もっともっと学びたいという意欲が伝わってきますね。知らないということは決して不幸なことではありません。むしろ、知らない自分に気づくことのできる幸福ではないでしょうか。学ぶことによって、それを知らなかった自分自身をはっきり認識することができること、つまり学びを通して、自らの存在をしっかり確認できることなのです。学びは自分を発見する手立てなのです。

学びは、時を選びません。学びは、場所を選びません。学びが唯一選ぶとすれば、それは自分自身に気づこうとしない、自分自身の存在に気づこうとしない人の意識ではないでしょうか。

皆さん、本校における様々な学びの中で、是非自分自身の存在をしっかり確かめてみてください。そして、学ぶことの喜びをしっかりかみしめてください。そうした前向きな意識と目的を持って、これからの日々を過ごしていくことが、きっと皆さん一人一人の人間性を磨き、これから先の人生の大きな宝物を手に入れることにつながると確信しています。

  最後になりましたが、保護者の皆様、本日は、お子様の御入学、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。これからの四年間、教職員一同、お子様が描こうとしている本校定時制課程の生活を全力でサポートしていきたいと思います。幸いにも本校定時制課程の教職員は、その能力や資質、人間性を含め、優れたスタッフが揃っており、私自身、県下で一番の定時制課程であると自負しております。今後とも本校の教育活動に御理解をいただき、御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。


平成30年4月9日 第1学期始業式 式辞(全日制)

 例年より一足早い春の訪れに、つい先日満開を迎えた桜の木々のピンク色は、すでに緑の若葉の色に少しずつ侵食され、時の流れが着実に進んでいることを感じさせます。皆さんが登下校で通る道端を、菜の花の鮮やかな黄色が彩っています。皆さんも、春らしい柔らかで優しい雰囲気を感じているのではないでしょうか。

  平成30年度が始まりました。春休みが終わり、残念な気持ちでいる人もいると思います。反面、新しいクラスや友達のこと、新しい担任や教科担任の先生のこと、新しく入ってくる1年生のことなど、新年度を迎え、期待や不安など、様々な思いを持っていることと想像します。

 さて、新年度に当たり、私からは「チャレンジ精神」について話をしたいと思います。このことについては、新しく皆さんの仲間になる1年生にも入学式で話をしたいと考えています。

この「チャレンジ精神」は、すでに本校に在学している2年生、3年生の皆さんは、本校の重点努力目標「チーム川高 授業の充実・マナーアップ」を具体的に達成していくために設定した三つの柱建ての一つであることは理解していると思います。その意味をあらためて確認しますと「何事にも高校生らしく勇気を持って挑戦させる」としています。

世界的な自動車・バイクメーカーとして知られるホンダの創業者である本田宗一郎氏は次のような言葉を残しています。

「チャレンジして失敗を恐れるより、何もしないことを恐れろ」(二回)

私たちは、チャレンジの先にどうしても「成功」や「成就」、また「達成」といったものを優先して期待してしまいがちですが、それにつながらず、「失敗」という結果に至る場合も少なくありません。しかし、大きな夢を持って新しいことや困難なことに果敢にチャレンジすることで発生する失敗には大きな意味があると考えます。そこからは、同じ失敗を繰り返さないという強い決意、成功に導くための思考力や工夫、実践力が生まれてくるからです。つまり、より高い人間的な成長を目指す生き方が確立されてくるのです。

逆に、最もしてはいけないのが、何かをすべき必要があるのに、何もしないことによって発生する失敗です。たとえば、定期考査があるのに十分勉強しないで悪い点を取ってしまった、また日々の練習を十分せずに試合に臨み、大敗を喫してしまったなどがその例です。これらは、結果として必然であり、果敢にチャレンジする意識とはほど遠い、むしろ自らの成長を阻む生き方ではないでしょうか。

 2年生、3年生の皆さんの中には、すでにいくつかのチャレンジをして苦い失敗の経験をした人がいることと思います。

次の新しいステージの扉を開こうとしている3年生の皆さん、これまで経験した苦い失敗を肯定的にとらえ、チャレンジ精神を生かして、部活動の締めくくりや自らの進路実現に果敢に挑んでください。これまで十分取り組めていなかった人も、高校生活の中で、自らの内に眠らせた力を発揮できるのは、この一年だけです。悔いのない一年を過ごしていきましょう。

高校生活の一通りを学んだ2年生の皆さん、高校生活の三年間の段階はよく「基礎」「充実」「発展」と言われます。「充実」期を迎えた皆さん、何度も何度も失敗を恐れずチャレンジを繰り返すことで、力を蓄えてください。たくましさを身に付けていってください。前向きにひたむきに日々を生きることは、きっと皆さん一人一人の人間力を磨き、これから先の皆さんの人生の大きな宝物、財産になっていくものと確信しています。

  最後になりましたが、本日の午後、皆さんの後輩が入学してきます。彼らはきっと皆さんに熱い視線を送ることと思います。彼らに対して、姉として、兄として、友として、先輩としてふさわしい、誇りある立ち居振る舞いを、さりげなくできるであろうことを期待しながら、式辞といたします。


平成30年4月9日 第1学期始業式 式辞(定時制)

 例年より一足早い春の訪れに、つい先日満開を迎えた桜の木々のピンク色は、すでに緑の若葉の色に少しずつ侵食され、時の流れが着実に進んでいることを感じさせます。皆さんが登下校で通る道端を、菜の花の鮮やかな黄色が彩っています。皆さんも、春らしい柔らかで優しい雰囲気を感じているのではないでしょうか。

  平成30年度が始まりました。春休みが終わり、残念な気持ちでいる人もいると思います。私もそうでした。反面、新年度を迎え、期待や不安など、様々な思いを持っている人もいることと想像します。

 はじめに、皆さんの多くが働きながら学ぶという努力を継続していることについて、大きな敬意を表します。働きながら学ぶということの大変さは私自身よくわかります。私も、かつて非常勤講師を3年間しながら、ようやく教師になれた経緯があるからです。

 さて、新年度に当たり、私からは「チャレンジ精神」について話をしたいと思います。

この「チャレンジ精神」は、すでに在学している2年生、3年生、4年生の皆さんは、本校の重点努力目標「チーム川高 授業の充実・マナーアップ」を具体的に達成していくために設定した三つの柱建ての一つであることは理解していると思います。その意味をあらためて確認しますと「何事にも高校生らしく勇気を持って挑戦させる」としています。

世界的な自動車・バイクメーカーとして知られるホンダの創業者である本田宗一郎氏は次のような言葉を残しています。

「チャレンジして失敗を恐れるより、何もしないことを恐れろ」(二回)

私たちは、チャレンジの先にどうしても「成功」や「成就」、また「達成」といったものを優先して期待してしまいがちですが、それにつながらず、「失敗」という結果に至る場合も少なくありません。しかし、大きな夢を持って新しいことや困難なことに果敢にチャレンジすることで発生する失敗には大きな意味があると考えます。そこからは、同じ失敗を繰り返さないという強い決意、成功に導くための思考力や工夫、実践力が生まれてくるからです。つまり、より高い人間的な成長を目指す生き方が確立されてくるのです。

逆に、最もしてはいけないのが、何かをすべき必要があるのに、何もしないことによって発生する失敗です。たとえば、定期考査があるのに十分勉強しないで悪い点を取ってしまった、また日々の練習を十分せずに試合に臨み、大敗を喫してしまったなどがその例です。これらは、結果として必然であり、果敢にチャレンジする意識とはほど遠い、むしろ自らの成長を阻む生き方ではないでしょうか。

 皆さんは今、チャレンジの真っ直中にあります。働きながら学ぶというチャレンジと真正面から向き合っています。その姿はとても輝いています。自らに自信を持ってください。前向きな日々の積み重ね、努力は、きっと人間力を磨き、この先の将来に、自信という人生の大きな宝物、財産を、皆さんが手に入れることにつながると確信しています。

  最後になりましたが、本校定時制課程の先生方は、とても面倒見がいい方ばかりです。先生方を信じてしっかりついてきてください。

皆さんの活躍と今年一年のますますの充実を祈りながら、式辞といたします。