校長室より
【全日制】令和8年度 2学期始業式のことば
皆さん、おはようございます。この夏休み、有意義に過ごすことはできたでしょうか。
夏休みを振り返ってみると、7月は、紙祭りへの書道部とバトン部の出演。8月に入ると、書道パフォーマンス甲子園での多くの生徒のボランティア参加、吹奏楽部の定期演奏会、野球部の新人大会、演劇部の東予大会がありました。
また、川高橘サマースクールでは、3年生を中心に、多くの生徒がひたむきに勉強に取り組んでいました。体育祭に向けて、準備を頑張っている人もたくさんいましたね。
これらの活動を見ていて改めて思ったことは、やはり「目標を持つ」ことの大切さです。
目標を達成するために努力している人は、とても格好いいです。そして、人は、目標に向かっているときに、自分を最も早く成長させることができます。
逆に言えば、「目標がない」ということは成長を妨げます。毎日漫然と過ごしていたのでは、成長は見込めません。
今皆さんは、自分を鍛えれば鍛えるだけどんどん成長する時間の中にいます。その時間を無駄にするのは、いかにももったいない話です。皆さんは、「もう少し頑張ればいい結果が出る」と分かっていても、ついつい楽な方を選んでしまった経験はないでしょうか。
そこで、今日は皆さんに、「マシュマロ実験」という有名な実験の話をします。 長期間にわたってアメリカのスタンフォード大学で実施されたこの実験は、1972年にその最初の結果が発表されました。
どんな実験かというと、まず子どもを部屋に入れ、目の前にマシュマロを一つ置きます。そして、子どもに「今、このマシュマロを食べてもいいよ。でも、私が戻ってくるまで食べるのを我慢して待つことができたら、もう一つマシュマロをあげるよ。」と伝えて、部屋を出ます。
部屋には子どもが一人残されます。目の前には、おいしそうなマシュマロが一つ。待ち時間は15分間です。
子どもたちは、みんな一生懸命我慢しますが、最後まで我慢できた子どももいれば、我慢できずにマシュマロを食べてしまった子どももいました。
この実験は、その後追跡調査され、マシュマロを食べるのを我慢できた子の方が、我慢できなかった子よりも社会的に成功する例が多かったとされました。
さて、皆さんならばマシュマロという誘惑を我慢できるでしょうか。皆さんの場合、マシュマロはお菓子とは限りません。それはスマホかもしれないし、ゲームかもしれません。
皆さんの毎日の生活の中には、たくさんのマシュマロ、つまり誘惑があります。 この実験は最近でも検証が続いていて、我慢できれば必ず成功すると、さすがにそこまで単純な話ではないことも分かっています。
ですので、私は皆さんにただ「いつも我慢しなさい。」と言いたいわけではありません。
私は、人生は我慢だけではなく、楽しむことも大切だと思っています。 しかし、同じように楽しんでいるように見えても、全然我慢できないことと、我慢や努力をできるという上で今は楽しむということは、全く違います。
皆さんの目の前には、これからたくさんの「マシュマロ」が置かれます。そのときに、自分の成長のためには、やはり誘惑に負けずに努力をする力が必要です。学校は勉強だけではなく、その力を養う場でもあります。
さらにもう一つ、マシュマロという誘惑の中には、毒が入ったマシュマロもあります。この「食べてはいけないマシュマロ」を食べてしまってはいけません。
そのことも含めて、1学期終業式に言ったことをもう一度伝えます。
1つ目は、毎日の授業を大切にすることです。将来のために、毎日集中して全ての授業に取り組むという基本的な力は身に付けましょう。
2つ目は、仲間づくりです。常に誠実であること、お互いに敬意を持つことを大切にしてください。もし課題があれば、対話によって解決に向かっていく力を育てることが必要です。
そのために、1学期に取組を始めた「ルールメイキング」を、更に進めていきたいと思います。
マシュマロ実験が示しているのは、自分の欲求をコントロールする「自制心」の大切さです。 まずは勉強から逃げないこと、そして、仲間づくりを通して自分の人間性を高める努力をすることです。
この2学期、大いに努力して、学力の面でも人間性の面でも成長したと実感できる素晴らしい学期にしましょう。共に頑張っていきましょう。
【定時制】令和8年度 2学期始業式のことば
皆さん、こんばんは。この夏休み、有意義に過ごすことはできたでしょうか。
夏休み中のことと言えば、静岡県でバドミントンの全国大会があり、本校生徒も出場しました。愛媛県を代表して大会に参加した経験は、かけがえのないものです。夏休み中は部活動を頑張っていた人も多くいましたね。
9月6日には定通制大会もありますので、出場する人は頑張ってください。また、9月11日には川之江会場で東予地区生徒生活体験発表会があります。こちらも出場生徒は頑張ってほしいと思います。
一つ連絡があります。2学期から皆さんの教室と先生方の準備室が一部変更になります。
教室は、全日制の1年生が使っている1・2階の4つの教室を使いことになり、1年生と4年生は2階に移動となります。
また、先生方の準備室を廊下の突き当たりに新設し、皆さんのロッカーも第2教棟の靴箱付近に移動しています。ですので、2学期は改めて新鮮な気持ちで学校生活を送ってほしいと思います。
さて、夏休み中、いつものように高校に登校することがない中で、生活のリズムを崩している人はいませんか。定時制で学ぶ皆さんは、それぞれ自分の生活リズムがあると思います。朝型の人もいれば、夜型の人もいるのではないでしょうか。そこで今日は新学期のスタートに当たり、「時間」に関する2つの話をしようと思います。
1つ目は、身体の時間について「体内時計」の話です。
皆さんは、「人間の体内時計は、1日ぴったり24時間ではない。」という話を聞いたことはありますか。
1990年代に、アメリカのハーバード大学でとても興味深い実験が行われました。時計も窓もなく、外の光が一切入らない特殊な部屋を用意して、そこに被験者たちに長期間暮らしてもらったのです。
朝か夜かも分からず、時間の連絡も受けない完全な隔離空間です。その状態で自分の感覚だけで寝起きや食事をしてもらいました。すると、人間の体内時計は、24時間11分だということが判明しました。
この生体リズムのことを、「サーカディアンリズム」と呼びます。つまり、私たちの体は、何の刺激も受けずに放っておくと、毎日11分ずつ後ろにずれていく仕組みになっています。
夏休み中、「普段は朝型の生活をしているのに、気付けば夜更かしが増えて夜型になった。」という人はいませんか。これは、体内時計の性質上、意識してリセットしないと自然と夜型へ傾いていってしまうからなのです。
地球の1日は正確に24時間ですから、私たちは毎日、この「11分のずれ」を自分の力でリセットしながら生きていかなければなりません。
では、どうすればこのずれをリセットできるのでしょうか。それは「起きたらすぐに太陽の光を浴びること」です。太陽の光によって脳が新しい一日を認識して、体内時計をリセットしてくれます。
2つ目は、心の時間について「バラ色の記憶」という話です。
人は誰も、自分に与えられた時間には限りがあり、時間は貯金できません。例えば人生には、寿命という限りがあります。その他にも、ここにいる多くの皆さんが過ごしている10代という時間も、限りがあります。
まずは、時間には限りがあると意識すること、そして、挑戦したいと思ったことを先送りにせず、自分の意志で早めに始めることです。
「自分の意志で」というのがポイントです。人は、仮に失敗したとしても、自分の意思で挑戦して失敗した場合は、「失敗したけれどいい経験ができた。」と記憶に残ります。これは、心理学でいう「バラ色の記憶」という認知バイアスです。
人には、「自分で選択した経験」はポジティブに評価する傾向があります。自分で決断して早めにチャレンジすれば、成功する確率は上がるし、失敗したとしても「学ぶことがあった」「成長できた」と思って、次の挑戦に向かうことができます。
私も、校長という限りある時間の中で、川之江高校の生徒たちや先生方のためにできるだけのことをしようと様々な挑戦をしています。皆さんも、「いつかやりたい」と思っていたことを先送りにせず、限りある時間の中で、是非積極的に挑戦してみてください。
今日は、「体内時計」「バラ色の記憶」という、どちらも時間に関する話をさせていただきました。
なぜ今、時間にまつわる話をしたのかというと、この2学期が1年間の中で最も長く、いろいろなことにじっくりと取り組む時間がある学期だからです。2学期には日々の授業やテストに加えて、体育祭などの行事もあります。4年生にとっては、自分の将来の進路を切り拓く重要な秋を迎えます。
皆さんがそれぞれの場所で輝き、この2学期が実り多き時間となることを願っています。
【全日制】令和8年度 1学期終業式のことば
野球部の皆さん、昨日は大変お疲れ様でした。今治西高校との伝統校対決、本当にがっぷり四つの息詰まる試合、まさに熱戦でした。
最後は「勝負は時の運」としか言えず、惜しくも勝利に届きませんでしたが、皆さんの粘り強い戦いぶりに胸を打たれました。応援も、野球部員、バトン部、吹奏楽部、生徒会を中心に、暑い中よく頑張りました。
試合終了後は相手校と恒例のエール交換をしますが、本校は7回終了後に「ファイトファイト今西」と、健闘する相手をたたえるエールを送りました。対戦相手を尊重した素晴らしい姿勢だったと思います。
さて、4月から私が時々授業を見て回っていたことを、皆さん知っていると思います。 そして、期末考査後からは、できるだけ授業に補助教員を入れて、皆さんの学びを支援しています。
皆さん、現在の授業の雰囲気はどうでしょうか。私は学習環境が目に見えて改善されたと思っています。
学校は何のためにあるのかと言えば、勉強するためにあります。皆さんは当然のことながら、勉強するために学校に来ています。そして、その中心が授業です。ですので、集中して授業を受けるという当たり前のことを徹底することが大切です。夏休み中の補習も、前向きに頑張ってください。
私は、川之江高校を「生徒が主役となって活躍できる学校」、「安全で安心して挑戦できる学校」にしたいと思っています。そして、モラルを維持する中で、できるだけ生徒の皆さんの高校生活が快適に過ごせるようにしていきたいと考えています。 そこで、先生方と生徒総会で出された要望等について検討しましたので、今日回答します。
結論から言うと、要望のほとんどを認めています。その中で、頭髪の規定のみ、2学期に結論を先送りにしています。
なぜならば、ルールメイキングの知見を生かし、生徒の皆さん自身が自分事として考えてほしいからです。
大切なことは、そのルール変更を実現するために何が課題であり、その課題をクリアするために自分たちは何をしなければいけないのかを、皆さん生徒自身が話し合うことです。そうする中で、自分たちのルールを自分たちで守る集団にする、一部の自分勝手な生徒を出さない機運を醸成することです。ルールの基準がどこにあるのかよりも、そのルールを自分たちの力で守っていこうとしていることの方が、より大切です。これが生徒自治であり、民主主義です。
先日のクラスマッチの開閉会式で生徒会の皆さんが全校生徒にメッセージを発したり、自分たちで考えて一生懸命運営したり、主体的にアンケートを行ったりする様子が見られました。どうすればもっと良い学校になるのか、自分事として考えて動き始めてくれています。これは、私にとって大きな希望です。
もちろん、先生たちはしっかりと指導・支援を行っていただきます。ただ生徒の皆さんも生徒自治を大切にして、どうすれば自分をもっと成長させられるのか、自分のクラスでよい仲間づくりができるのか、川之江高校をよい学校にできるのかを、自分のこととして考えてみてください。
そのためには、年度初めに言った「自分に厳しく、周りに優しく」の精神が大切です。勉強や学校生活に対する甘えを捨て、自分を鍛え抜きましょう。そして、家族、友人、周囲の全ての存在に敬意を払い、思いやりを大切にしましょう。
クラス全員がお互いに思いやりをもって接すれば、そのクラスは素晴らしいクラス、素晴らしい仲間になります。2学期には体育祭、文化祭、クラスマッチと多くの行事があります。そんな素敵な仲間と取り組む行事は、最高です。
大切なことは、仲間づくりです。私は皆さんに、是非そういう最高の経験をしてほしいと願っています。
明日からの夏休み、まずは補習を休みなく受けてください。そして、「自分に厳しく、周りに優しく」です。自分を厳しく律し、周りを思いやって、自分を成長させる休みにしてください。
皆さんに期待しています。そして、皆さんの高校生活が、より素晴らしいものになることを祈っています。
【定時制】令和8年度 1学期終業式のことば
皆さん、今日で1学期が終わります。皆さんにとって充実した学校生活は送れたでしょうか。
一昨日は、校内球技大会に参加させてもらいました。バトミントンでしたが、レベルの高さに驚きました。また、部活動で皆さんが生き生きと活動している姿を見て、とてもうれしい気持ちになりました。
スポーツと言えば、現在サッカーのワールドカップが行われています。後は明後日19日(日)の決勝戦を残すのみとなっています。皆さん、この大会はどこで行われているか、知っていますか。アメリカ・カナダ・メキシコの共同開催で、決勝戦はアメリカで行われます。
そのアメリカは、先日7月4日に建国250年を迎えました。アメリカは現在最も力のある国ですが、日本でいう江戸時代後半にイギリスから独立した、意外と若い国です。そしてそのアメリカに、皆さんに是非紹介したい人物、私が尊敬している人物がいます。それは、マルティン・ルーサー・キング・ジュニアという人です。
日本では一般的に、キング牧師と呼ばれています。私が生まれる少し前の頃、1960年代までのアメリカは、黒人差別が根強くありました。その差別をなくそうと、キング牧師は公民権運動という活動を行いました。
その活動方針は、非暴力主義です。自分たちがどんなに差別されたり暴力を受けたりしても、自分たちは暴力には訴えないという運動です。すごいですよね。暴力に暴力で応じるよりも、ずっと勇気があることだと思います。
キング牧師ですが、1963年に首都ワシントンD.C.でワシントン大行進を行います。そこでは、黒人の方だけではなく、彼の運動に共感したたくさんの白人の方も参加して、約20万人の人が手を取り合って行進しました。
そして彼は、リンカーンホールの前で、大群衆に向かって演説を行います。「I have a dream.」から始まる、とても有名な演説です。「I have a dream.」「私には夢がある。」「Oneday…」「いつの日か、肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢がある。」
史上最高の演説です。本当にグッときます。そして翌1964年、今から62年前に、人種差別を禁じる公民権法が制定されました。
ちなみに、キング牧師は、ノーベル平和賞を受賞しますが、1868年に暗殺されてしまいました。
しかし現在、彼の誕生日に近い1月第3月曜日はキングズデーといって、アメリカの祝日になっています。アメリカの祝日のうち、特定の個人を記念した唯一の祝日です。
さて、皆さんは自分の「夢」を持っているでしょうか。
「I have a dream.」と言えるものがあるでしょうか。
夢と言っても、キング牧師のような崇高な夢でなくても構いません。「将来は○○の仕事をしたい。」「こういう資格をとりたい。」「テストで良い点を取りたい。」というようなもので十分です。
大切なことは、「夢や目標」を持って、それを実現するために努力することです。
当然、「夢」は簡単に実現するものではありません。「夢」に向かう道は、平坦でまっすぐなはずがない。登ったり下ったり、曲がりくねったり、障がい物があったりします。
「自分には才能がない」「自分は勉強が苦手だ」など、夢を諦めるための言い訳は、いくらでもできます。しかし、「できない言い訳」を探すのではなく、「できるための工夫や努力」をしてほしいと思います。
もう一度言います。大切なことは、「夢や目標を持って、それを実現するために努力すること」そして、「努力している自分を好きになること」です。
明日からは夏休みです。普段以上に自由に使える時間が増えます。そこで是非自分の「夢や目標」を再確認して、その実現のために今何をすべきかを考えて行動してみてくださいね。
それでは、良い夏休みにしてください。
令和8年4月8日 全日制課程入学式 式辞
式辞
新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。そしてこれまで、愛情をもって支えてこられた保護者の皆様に、心よりお祝い申し上げます。
1908年創立の本校は、長い歴史と伝統を重ね、今年度創立118年目を迎えます。そして、「夢をかたちに、いきいき川高」をスローガンとし、「生徒一人一人が主役として輝く学校」を目指して、様々な教育活動に取り組んでいます。
さて、新入生の皆さん。皆さんは、明確な夢を持っているでしょうか。また、皆さんはどのような理由で川之江高校を選んだのでしょうか。「大学に進学したい」「部活動を頑張りたい」「友達が行くから」「家から近いから」など、理由はいろいろでしょう。既に具体的な目標を持っている人もいれば、何となく入学した人もいると思います。また、中学時代に、もっといろいろなことを頑張れたと思っている人もいるのではないでしょうか。そのような人は、高校に入学した今こそ、自分を変える大きなチャンスです。
そこで、新入生の皆さんに、一つ言葉を贈ります。「夢は夢にあらず」。自分を成長させる一番の近道は、夢や目標を持つこと、「なれる自分」ではなく、「なりたい自分」になろうとすることです。そして、「なりたい自分」になるためには、自分を律し、夢や目標に向かって努力を積み重ねることが必要です。また、目標が高ければ高いほど、誰にも負けない努力を続けなければなりません。郷土の儒学者である尾藤二洲先生は、「学は人たる所以を学ぶなり」と述べています。これは、学ぶということは単に知識を増やすことではなく、「人としてどう生きるか」を学ぶことである、という意味です。高校では規律を重んじ、その中で、自分に厳しく、周りに優しい人に成長していってください。
本校には、橘サマースクール、グローバル人財育成事業、川之江先輩塾など、多様な学びの機会があります。さらに、部活動や探究活動も充実しており、自分を高める舞台がたくさん用意されています。これらを積極的に活用し、高校三年間で、自らの人生を切り拓く力を身に付けることを期待しています。何もしない人は、失敗をしませんが、成長もせず、夢は夢のままです。本校は、生徒一人一人が主役になれる学校です。「夢は夢にあらず」。それを現実にできるかどうかは、皆さんの意思と行動にかかっています。失敗を恐れず、変化を恐れず、自分の可能性を信じて、「なりたい自分」を目指しましょう。
最後になりますが、保護者の皆様、生徒一人一人が「川之江高校に入学して良かった」と実感できるよう、教職員一同尽力いたします。大切な子どもたちのために手を取り合ってまいりましょう。これから三年間、何とぞよろしくお願いいたします。
新入生の皆さんの前には、無限の可能性が広がっています。その未来が実り多きものになることを心より願い、式辞といたします。
令和8年4月8日
愛媛県立川之江高等学校長 合田明典
令和8年度 1学期始業式のことば
式辞
皆さん、おはようございます。4月に校長に着任した合田といいます。よろしくお願いします。皆さんとは初めての出会いですが、私は21年前まで11年間、本校で勤務していました。ですので、もしかすると皆さんのお父さんやお母さん、御家族の中に、私のことを知っている人もいるかもしれません。もしおられましたら、よろしくお伝えください。
さて、皆さんは自分の目標を持っているでしょうか。目標にはいくつかあって、「将来こういう大学に入りたい」「こういう職業に就きたい」という目標や、「学習面でこういう成績を収めたい」「部活動でこういう結果を出したい」という目標があります。それとともに、そのベースとして「こういう人になりたい」という人としての目標があります。今日は、人としての目標について話をします。
皆さん、自分が小学生のときのことを思い出してください。小学生のときに、高校生の人ってどのように見えていましたか。すごいお兄さんお姉さんに見えていたのではないでしょうか。今、皆さんはその立場になっています。では、小学生のときの自分は、高校生になったらどんな人になりたいと思っていたか覚えていますか。少なくとも、いじめ、暴言・暴力、SNSでの不適切な投稿をしたり、いつも人の悪口を言ったり、授業中に注意を受けたり、ルールを破ったり、そういう格好悪い人にはなりたくないと思っていたのではないでしょうか。もしも今、自分がそうであったら、小学生の自分はがっかりしちゃいますよね。これはむしろ「なりたくない自分」であって、そうであってはいけません。
私は、高校は生徒の皆さんが安全で安心に過ごせる場所でなければいけないと思っています。この中にはいないと思いますが、もしいじめや授業妨害など、人に迷惑を掛ける行為があれば、私は、それは許しません。
そうではなく、小学生のときにこういうお兄さんお姉さんになりたかったという「なりたい自分」にならなければいけません。それが、自分を大切にするということです。10代の皆さんは自分を形作っている最中ですので、どういう自分になりたいかを考えることはとても大事です。
では、どうすればそれができるのか。これには2つ方法があります。
1つ目は、「メタ認知」です。これは要するに、今自分がどういう状況なのかを客観的に理解する力です。人のことはすぐ分かりますが、自分で自分の顔を直接見られないように、自分の今の状況を理解することは、意外と難しいことです。自分勝手な行動をしたり、人に迷惑を掛けたりしてしまう人は、自分がどんなに格好悪いのかということを客観的に理解することが苦手です。それでは、どうすれば自分の状況を理解できるのか。その簡単な方法は、先ほど言った小学生の自分の目線を大切にすることです。小学生だった自分から見て、どんなお兄さんお姉さんになっているのか。「人に迷惑を掛けて格好悪い。」となっているのか。それとも「良かった。こんなに努力をしている人になっている。」「こんなに思いやりの深い人になっている。」となっているのか。それが、自分が今どういう状況にあるのかを理解する方法です。もし自分が良くない状況にあることが客観的に理解できれば、人は自然とそこから抜け出そうとします。
2つ目は「モデリング」です。「学ぶ」という言葉の語源は「真似ぶ」、つまり真似をすることです。みんなの周りにも、自分の目標に向かってこつこつと努力を重ねたり、いつも笑顔で誰とでも公平に接したり、絶対に悪口を言わなかったり、人が見ていなくてもごみを拾っていたり、「この人、すごいな。」という人はいると思います。私も今まで、そういう人に出会ってきました。そして、その人に一歩でも近づきたかったから、その人の真似をしました。皆さんも、自分の周りで、年上年下関係なく、「この人いいな、素敵だな。」という人がいれば、是非、その人の真似をしてみてください。そうすれば、「なりたい自分」に近づいていきます。
「メタ認知」と「モデリング」、この2つを実践してみてください。
最後に、皆さん、高校3年間をかけて、自分を鍛え抜いてください。若い皆さんは、鍛えれば鍛えるほど、どんどん伸びます。逆に何もしなければ、伸びません。それどころか、「怠ける」という悪い習慣が付いてしまいます。これは、一生の負の遺産になってしまいます。そうなってはいけないんです。例えば、陸上選手が記録を伸ばそうと思えば、しんどい練習に耐えて、自分を鍛えに鍛え抜きます。その結果、記録が伸びます。「そんなのはしんどい。」と家でダラダラしていれば、記録は伸びません。当然です。そしてこのことは、学習面でも心の面でも同じです。一生懸命努力をするというのは、最初慣れていなければしんどいと思います。けれど、継続した努力をすれば、ある日ふと、今までできなかったことができるようになる瞬間があります。それはとても嬉しく、楽しい瞬間です。私は是非皆さんに、その感覚を何度も味わってほしい。そして嬉しいから、もっと努力をします。もっと努力をするから、更にできることが増えます。私はこれが「成長」だと思います。
川之江高校の先生方は、皆さんのことを実によく見ています。そして、皆さんが成長していくことを、心から願っています。
今日の話をまとめます。
まず、自分勝手な行動、人に迷惑を掛ける行動をするような、格好悪い自分、「なりたくない自分」になってはいけない。そのために、客観的に自分を見られるようにしてください。
そして、「なれる自分」でもダメです。「なれる自分」と「ありのままの自分」は違います。皆さんは、「ありのままの自分」でいいし、一人一人尊い存在です。しかし、努力をせず成長もしない「なれる自分」のままでいるのはもったいないことです。
やはり、もっと格好いい「なりたい自分」を目指しましょう。そして、「なりたい自分」になるために、自分を鍛え抜いて、努力を続けてほしいと思います。
皆さんが心身ともに更に大きくたくましく成長することを、自分に厳しく周りに優しい、それを自然とできる人になっていくことを期待しています。共に頑張っていきましょう。以上です。
令和8年4月8日
愛媛県立川之江高等学校長 合田明典