校長室より      校長 松木 義明

 令和4年4月1日付で川之江高等学校の校長に着任いたしました 松木 義明 と申します。本校同窓生の皆様、地域の皆様どうぞよろしくお願いいたします。川之江高校への赴任は初めてですが、同窓生や地域の方々の本校に対する熱い思いを感じております。創立115年を超える県内有数の伝統校の校長として、「生徒たちのために」という視点を大切にし、誇りと責任感を持って努めてまいります。

※令和6年4月8日 全日制課程入学式 式辞

 式 辞

 満開だった桜の木々に、光に照らされた緑の若葉の色が少しずつ入り交じりはじめた光景を春の香りが彩る今日の佳き日、PTA会長 川﨑 奈見様、同窓会長 毛利 泰治郎様、愛媛県議会議員 石川 剛様をはじめ、御来賓並びに保護者の御臨席を賜り、令和六年度愛媛県立川之江高等学校全日制課程の入学式が挙行できますことは、在校生並びに教職員一同の大きな喜びであり、深く感謝申し上げます。

 ただ今、入学を許可いたしました、一七三名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。本校への入学を目指してこれまで重ねてきた努力に対して敬意を表するとともに、創立百十五年を超える歴史と伝統のある本校の一員となった皆さんの入学を心より祝福するものであります。

 振り返ってみますと皆さんの中学校生活の前半は新型コロナウイルスまん延の脅威にさらされた時期と重なっていたのではないでしょうか。学校行事の中止や縮小など、思い描いていた中学校生活のスタートとはならなかったことでしょう。悔しさを胸の内にしまい、前を向くという強さを発揮するとともに、それまでの日常が当たり前ではなく、ありがたいことだったということに気づき、感謝することの大切さを学んだことと思います。

 さて、本校は「社会に貢献できる人材の育成」を重点努力目標に掲げ、生徒一人一人が主役として輝く学校、地域に信頼される学校を目指して、「自らの夢の実現にチャレンジし、懸命に頑張れる生徒、自ら考え、発信し、行動できる生徒、自らを律することができる生徒」の育成に努めるべく取り組んでおります。入学式に臨んでいる皆さんは今どんなことを考えていますか。きっと、これからの高校生活に対する様々な思いが交錯していることと察します。

 入学に当たり、アメリカ・ペンシルベニア大学教授で心理学者でもあるアンジェラ・ダックワース氏の著書の中からやり抜く力について紹介したいと思います。

 「やり抜く力」とは、自分の最も重要な目標に対して、興味を持ち続け、ひたむきに取り組む「情熱」と、困難や挫折を味わってもあきらめずに努力を続ける「粘り強さ」のことを指しています。日本語では「やり抜く力」と訳されていますが、著書の中では、「GRIT(グリット)」と表現されています。すなわち、Guts(ガッツ)、Resilience(レジリエンス)、Initiative(イニシアチブ)、Tenacity(テナシティ)の四つの頭文字を取ってこう呼ばれています。

 Guts(ガッツ)とは、困難な状況に立ち向かう力、難易度が高いことやいやことから逃げずに挑戦しようとすることです。Resilience(レジリエンス)とは、失敗してもあきらめずに粘り強く続ける力、立ち直る力のことです。Initiative(イニシアチブ)とは、自ら目標を見つけて取り組む、行動することができる自発性のことです。Tenacity(テナシティ)とは、最後までやり遂げる力、すなわち困難なことでも、また失敗しても粘り強く取り組むことです。以上の四つの要素を総合的に身に付けることではじめて「やり抜く力」が生まれるということです。人生において成功を収めたり、大きな成果を上げるためには、生まれつきの才能でも学校の成績でもなく、この「やり抜く力」が重要だとダックワース氏は著書の中で科学的根拠に基づいて述べています。

 それでは、どうやったらこの「やり抜く力」を伸ばすことができるのでしょうか。一つは自分自身の内側から伸ばす方法です。興味や関心を掘り下げ、高い目標を設定し、それに向かう取組を習慣化・継続すること。また、今やっていることが自分自身の大きな目的につながっていると自覚すること、そしてどのような状況に直面しても挑戦し続けることです。もう一つ、外側から伸ばすこともできます。一人だとあきらめてしまうことも友達や先輩、そして先生方など周りの人々に刺激を受けながら、お互い切磋琢磨し、懸命に努力を続けたり、サポートや後押しを受けることで自身の進歩につながり、それによって自信がわき、さらに大きなことや高い目標に挑戦しようという好循環が生まれます。

 「やり抜く力をつけるには、興味ある目標に粘り強く取り組むこと」

 「やり抜く力をつけるには、一歩ずつでも前に進むこと」

 「やり抜く力をつけるには、興味・関心あることに継続して取り組むこと」

 「やり抜く力をつけるには、七回転んだら八回起き上がること」

 高校生活を送るうえで、辛いことや困難なことなど、壁にその行く手を阻まれることがあるかもしれません。そのような時にこそ、「やり抜く力」すなわち、「GRIT(グリット)」を意識することで、物事が今よりもいい方向に動き始めるはずです。このことを信じて、これからの高校生活において、様々なことに挑戦・チャレンジしてみませんか。例え失敗したとしても、そのことを肯定的にとらえ、失敗を恐れず、何度も何度も粘り強く挑戦することで、たくましさを身に付けてほしいと思っています。そうした前向きな日々の繰り返しは、皆さん一人一人の人間力を磨き、人生の大きな宝物となると確信しています。

 最後になりましたが、保護者の皆様、本日はお子様の御入学、誠におめでとうございます。これからの三年間は人生の中でも一番多感な時期であり、夢や希望を抱き、自分自身を見つめ、これから進むべき道を模索する大切な期間です。お子様が充実した日々を送り、心身ともに大きく成長してほしいという点において保護者の皆様と学校は目指す方向が合致しています。保護者の皆様と学校が、子どもたちの成長を心から願う協働のパートナーとして力を合わせて進んでまいりましょう。自主・自律の教育方針に沿った本校の教育活動に御理解をいただき、御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 本日、高校生活のスタートラインに立った新入生の皆さんが挑戦と失敗を繰り返しながら「やり抜く力」を身に付けて、三年後、この学び舎から大きく羽ばたいていくことを期待し、式辞といたします。

                     令和6年4月8日   愛媛県立川之江高等学校長 松木 義明

※令和5年4月10日 全日制課程入学式 式辞

 式 辞

  満開だった桜の木々に、光に照らされた緑の若葉の色が少しずつ入り交じりはじめた光景を、春の香りが彩る今日の佳き日、PTA会長 川﨑奈見様並びに保護者の御臨席を賜り、令和5年度、愛媛県立川之江高等学校全日制課程の入学式が挙行できますことは、生徒並びに教職員一同の大きな喜びであり、深く感謝申し上げます。

   ただ今、入学を許可いたしました、165名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。本校への入学を目指してこれまで重ねてきた努力に対して敬意を表するとともに、創立115年を迎える歴史と伝統のある本校の一員となった皆さんの入学を心より祝福するものであります。

 振り返ってみますと三年前の春以降、新型コロナウイルスのまん延が脅威となり、学校現場にも大きな影響がありました。特に皆さんは中学校への入学直後、臨時休業や学校行事の中止・縮小、さらに部活動においても活動の制限や各種大会・コンクールの中止等、思い描いていた中学校生活とは異なり、やりきれなさや喪失感を埋めるのは簡単ではなかったと思います。悔しさを胸の内にしまい、前を向くという強さを発揮するとともに、当たり前が当たり前ではなく、ありがたいことだったということに気づき、感謝することの大切さを学んだことと思います。制限のある中、自ら工夫し、先生方や友人たちと手を携えながら、勉学や部活動はもちろん、様々なことにチャレンジした皆さんに対して、「大変だったけど、よく頑張ったね。」という称賛の言葉を伝えたいと思います。

 さて、本校は昨年度から、「社会に貢献できる人材の育成」を重点努力目標に掲げ、生徒一人一人が主役として輝く学校、地域に信頼される学校を目指して、「自らの夢の実現に向かって懸命に頑張れる生徒、自ら考え、発信し、行動できる生徒」の育成に努めるべく取り組んでおります。入学式に臨んでいる皆さんは今どんなことを考えていますか?きっと、これからの高校生活に対する様々な思いが交錯していることと察します。

 入学に当たり、私からは「明るい気持ち」について、精神科医で評論家でもある和田秀樹先生の著書の中から紹介したいと思います。   

「人は明るい気持ちでいると、笑顔になります。笑顔でいれば、自然と明るい気持ちになれます。笑顔が無理でも、仏頂面をやめることはできます。表情が明るくなれば、暗く沈みがちな気持ちも変わり始めます。自分が変われば、周囲の人たちの受け取り方も変わります。少なくとも、物事が今よりもいい方向に動き始めます。物事がいい方向に動き始めれば、人生が楽しくなって、笑顔でいられる日が続くことになります。」

 皆さんの中には、もしかすると生まれついての性格は変えられないと思っている人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。気持ちが明るくなったり、暗くなったりするのは、全て自分自身の主観(自分だけのものの見方や感じ方)の問題なのです。考え方や見方ひとつで、物事の受け止め方を変えることができるのです。

 笑顔の効果について、和田先生は、①笑顔でいることで気持ちに余裕が生まれる。つまり、リラックスして日常を過ごすことで、自然と疲れやストレスを蓄積しにくくなり、何事に対してもやる気が生まれ、前向きな姿勢で物事に向き合えることから、いい結果が出やすい。②周囲の人と円滑なコミュニケーションを図るという点でも、笑顔は欠かすことのできない要素であり、あいさつや会話の際に笑顔でいると、相手に心を開いているというサインになり、相手もリラックスできることから、お互いの心理的な距離を素早く縮めることができる、と述べています。

 では、明るい気持ちを引き出すにはどうしたらいいのでしょうか。和田先生の言葉を借りれば、①何に対しても「いい部分やプラス面」を探してみる。②「今日がダメでも、明日もダメとは限らない」と考える。③不安や怒り、焦りなどのネガティブな感情は「仕方がない」と受け入れる、つまり時間が経てば自然と消えていくので、ダメなものはダメと割り切って「次善の策」を考えてみる。④「パーフェクト」な自分を求めない。つまり、100点満点でなければ、0点でも同じという妥協を許さない極端な完全主義は生きづらくなるので排除する、ということです。

 高校生活を送るうえで、辛いことや大変なこと等、壁にその行く手を阻まれることがあるかもしれません。そんな時にこそ、笑顔を意識することで、自然と明るい気持ちになり、暗く沈みがちな気持ちも変わり始め、少なくとも、物事が今よりもいい方向に動き始めるはずです。このことを信じて、これからの高校生活において、様々なことにチャレンジしてみませんか。例え失敗したとしても、そのことを肯定的にとらえ、失敗を恐れず、何度も何度もチャレンジを繰り返すことで、たくましさを身に付けてほしいと思っています。そうした前向きな日々の繰り返しは、皆さん一人一人の人間力を磨き、人生の大きな宝物となると確信しています。

 本校正門を入ったすぐ正面には江戸時代の後期にこの川之江の地に生をうけた尾藤二洲の言葉である「志の一事は自心に問て決すべし」と刻まれた碑が建っています。高校生活をスタートするにあたって、一人の大人として、人に流されることなくそれぞれの夢(目標)に向かって、自らの考えをしっかり持って行動してほしいと願っています。そしてこの川之江高校に集った仲間たちのいい部分をお互いが取り入れて、切磋琢磨しながら、最終的には自らの意志で正しい判断を下してください。

   最後になりましたが、保護者の皆様、本日は、お子様の御入学、誠におめでとうございます。これからの三年間は人生の中でも一番多感な時期であり、夢や希望を抱き、自分自身を見つめ、これから進むべき道を模索する大切な期間です。お子様が充実した日々を送り、心身ともに大きく成長してほしいという点において保護者の皆様と学校は目指す方向が合致しています。保護者の皆様と学校が、子どもたちの成長を心から願う協働のパートナーとして力を合わせて進んでまいりましょう。文武両道の教育方針に沿った本校の教育活動に御理解をいただき、御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。

                     令和5年4月10日   愛媛県立川之江高等学校長 松木 義明

 

※令和4年4月8日 全日制課程入学式 式辞

 式 辞 

 満開だった桜の木々に、光に照らされた緑の若葉の色が少しずつ入り交じりはじめた光景を、春の香りが彩る今日の佳き日、御来賓並びに保護者の御臨席を賜り、令和4年度、愛媛県立川之江高等学校全日制課程の入学式が挙行できますことは、生徒並びに教職員一同の大きな喜びであり、深く感謝申し上げます。

   ただ今、入学を許可いたしました、176名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。本校への入学を目指してこれまで重ねてきた努力に対して敬意を表するとともに、創立110年を超える歴史と伝統を持つ本校の一員となった皆さんの入学を心より祝福するものであります。

 一昨年の春以降、日本はもちろん、全世界にとって新型コロナウイルスのまん延が脅威となり、学校現場にも大きな影響がありました。皆さんは中学1年生の後半から、臨時休業や学校行事の中止・縮小、さらに部活動においても活動の制限や各種大会・コンクールの中止等、やりきれなさや喪失感を埋めるのは簡単ではなかったと思います。悔しさを胸の内にしまい、前を向くという強さを発揮するとともに、当たり前が当たり前ではなく、ありがたいことだったということに気づき、感謝することの大切さを学んだことと思います。

 本校は今年度、「社会に貢献できる人材の育成」を重点努力目標に掲げ、生徒一人一人が主役として輝く学校、地域に信頼される学校を目指して、自ら考え、発信し、行動できる生徒の育成に努めたいと考えています。

 さて、入学式に臨んでいる皆さんは今何を考えていますか?きっと、これからの高校生活について様々な思いが交錯していることと察します。

 入学に当たり、私からは「好奇心」についての話をしたいと思います。昨年、日本人として28人目のノーベル賞(物理学賞)を受賞した現在の四国中央市の大先輩で旧新宮村出身の真鍋淑郎さんは、記者会見で「自分に興味があって得意なことをやれば、一生幸せに暮らすことができる。」と「好奇心」を持って取り組むことの大切さについて話されていました。私自身の今までの教員生活においても、「好奇心」旺盛な子どもたちが勉強や運動・文化活動等において驚異的に成長した姿を見てきました。そうした子どもたちに共通していたのが、「なぜ?、どうして?」という思いを口にしていたことです。「好奇心」を持って「知ろうとする気持ち」が子どもたちを成長させる原動力になっていたことは間違いないと思っています。もちろん「好奇心」を持っていろいろなことにチャレンジしても、必ずしも「成功」や「成就」、「達成」につながるとは限りません。「失敗」という結果に至る場合も少なくないでしょう。しかし、「好奇心」や「夢・希望」を持って新しいことや困難なことに果敢にチャレンジした結果、失敗に至ったとしても、その過程には大きな意味があると考えます。そこからは、同じ失敗を繰り返さないという強い決意、成功に導くための思考力や工夫、実践力が生まれてくるからです。つまり、より高い人間的な成長を目指す生き方が確立されてくるのです。

 皆さん、本校における学びの中で、「好奇心」や「夢・希望」を持って様々なことにチャレンジする気持ちの灯を、本日の今から心に灯してください。そして、失敗を肯定的にとらえ、これを恐れず、何度も何度もチャレンジを繰り返すことで、たくましさを身に付けていってください。そうした前向きな日々の繰り返しは、皆さん一人一人の人間力を磨き、人生の大きな宝物となると確信しています。

 江戸期にこの川之江の地に生をうけた尾藤二洲の教えに「行は衆善を取れ」という一説があります。「人のいいところを見習いなさい。」という意味でしょう。この川之江高校に集った仲間たちのいい部分をお互いが取り入れて、切磋琢磨しながら人間的に大きく成長していくことを期待しています。

 最後になりましたが、保護者の皆様、本日は、お子様の御入学、誠におめでとうございます。これからの三年間は人生の中でも一番多感な時期であり、夢や希望を抱き、自分自身を見つめ、これから進むべき道を模索する大切な時期です。お子様が充実した日々を送り、心身ともに大きく成長してほしいという点において保護者の皆様と学校は目指す方向が合致しています。保護者の皆様と学校が、子どもたちの成長を心から願う協働のパートナーとして力を合わせて進んでまいりましょう。文武両道の教育方針に沿った本校の教育活動に御理解をいただき、御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。

                     令和4年4月8日   愛媛県立川之江高等学校長 松木 義明